Q. 美容室の原価管理は、何を確認すればいい?
美容室の原価管理では、仕入れた材料の金額だけを見るのではなく、実際に使った材料費、売上に対する材料費率、メニューごとの原価、粗利を分けて確認することが基本です。月ごとの変化とメニューごとの採算を見ることで、売上だけでは分からない利益の状態を把握しやすくなります。
美容室の数字を確認するとき、まず売上を見ることが多いかもしれません。ただ、売上が同じでも、使った材料の量やメニューの組み合わせによって、手元に残る利益は変わります。この記事では、材料費・材料費率・メニュー原価・粗利の4つを、原価管理という一つの流れとして整理します。
美容室の原価管理とは
美容室の原価管理とは、売上を得るためにかかった材料のコストを把握し、利益の状態を確認する取り組みです。仕入れた金額を見るだけでは、実際に使った材料のコストは分かりません。
仕入れた材料が、その月のうちにすべて使われるとは限りません。棚に残っている分もあるため、原価管理では「いくら仕入れたか」ではなく「いくら分を使ったか」を基準に考えます。なお、この記事では材料にかかるコストを原価として扱い、人件費や家賃などは含めずに説明します。
美容室で確認したい4つの数字
美容室の原価管理で確認したいのは、材料費・材料費率・メニュー原価・粗利の4つです。似た言葉ですが、それぞれ見ている範囲が異なります。
- ・材料費:一定の期間に実際に使った材料の金額(店舗全体)
- ・材料費率:売上に対して材料費がどのくらいの割合か(店舗全体)
- ・メニュー原価:1回の施術に使う材料の金額(メニュー単位)
- ・粗利:売上や売価から材料のコストを差し引いた金額(店舗全体・メニュー単位)
材料費と材料費率は店舗全体の数字で、メニュー原価はメニュー単位の数字です。これらを混同すると、どの数字が変わったのか、どこを見直せばよいのかが分かりにくくなります。
材料費の基本的な考え方
材料費は、期間の初めにあった在庫に期間中の仕入れを足し、期間の終わりに残っている在庫を差し引いて求める考え方が基本です。
材料費の基本的な考え方
期首在庫 + 仕入 - 期末在庫
残っている在庫を差し引くことで、仕入れたものの使っていない分が材料費に含まれにくくなります。会計・税務上の処理は店舗の状況や税理士の方針によって異なる場合があるため、ここでは店舗の状態を把握するための考え方として紹介しています。期首在庫・期末在庫の扱い方や計算例は、関連記事「美容室の材料費の計算方法」で解説しています。
材料費率だけでは判断できない理由
材料費率は便利な指標ですが、高いか低いかだけで経営の良し悪しは判断できません。材料費率は、材料費だけでなく売上の増減によっても変わるためです。
たとえば材料費が同じでも、売上が下がれば材料費率は上がります。反対に、材料を多く使う価格の高いメニューが増えると、材料費率は上がっても粗利の金額は増えている場合があります。
材料費率に業種共通の適正値があるわけではありません。メニュー構成や価格設定、店販商品の割合によって変わるため、他店の数字と比べるより、自店舗の月ごとの推移を見るほうが判断の材料になります。
メニューごとの原価を見る
メニュー原価は、1回の施術で使う材料の量と単価から求めます。施術内容によって使う材料が大きく違うため、店舗全体の材料費だけでは、どのメニューにどれだけ材料がかかっているかは分かりません。
カラーならカラー剤や助剤、トリートメントなら業務用のトリートメント剤というように、メニューごとに使う材料と量は変わります。メニュー原価が分かると、売価に対してどのくらいの粗利が見込めるかを確認しやすくなります。
メニュー原価は、標準的な使用量をもとにした目安です。実際の使用量は髪の長さや状態によって変わるため、店舗全体の材料費とあわせて見ることが大切です。
売上ではなく粗利を見る
売上が増えても、同じだけ材料費が増えていれば、手元に残る粗利は増えません。原価管理では、売上とあわせて粗利の金額を確認します。
以下は、計算の仕組みを示すための架空の例です。
- ・先月:売上100万円 - 材料費10万円 = 粗利90万円
- ・今月:売上110万円 - 材料費20万円 = 粗利90万円
この例では売上が10万円増えていますが、材料費も10万円増えているため、粗利は変わっていません。ここでの粗利は売上から材料費を差し引いた金額で、人件費や家賃などを差し引いた最終的な利益とは異なります。
月ごとに原価を比較する
原価の数字は、1か月分だけでは良し悪しを判断しにくく、月ごとに並べて変化を見ることで意味が分かりやすくなります。
比較するときは、できるだけ条件をそろえることが大切です。棚卸しのタイミングが月によって大きくずれると、在庫の差が材料費に混ざり、使用量の変化なのか数えた時期の違いなのかが分かりにくくなります。棚卸しを行う時期を店舗で決めておくと、比較の条件をそろえやすくなります。
材料費率が変わったときは、売上・仕入・在庫・メニュー構成のどれが動いたのかを順に確認すると、原因の見当をつけやすくなります。
Excelで管理する場合
材料やメニューの数が少ない店舗では、Excelでの原価管理も合理的な選択肢です。材料の単価と使用量、月ごとの売上・仕入・在庫を表にまとめれば、材料費・材料費率・メニュー原価・粗利はいずれも計算できます。
一方で、材料の単価が変わるたびにメニュー原価を更新したり、棚卸しの結果を材料費の計算に反映したりする作業が続くと、手間が増えることがあります。現在の方法で無理なく続けられていれば、切り替える必要はありません。
Beautockでできる原価管理
Beautockは、美容サロン向けの材料費・在庫・原価・粗利管理クラウドです。材料・商品の登録、数量の管理、棚卸しの入力、在庫金額の算出、材料費・材料費率の確認、メニュー原価と粗利の確認に対応しており、月ごとの数字は利益レポートで確認できます。
一方で、人件費や家賃などを含めた最終的な利益の管理、POS連携、販売・使用のたびに在庫を自動で減らす機能、自動発注などには対応していません。原価の数字をもとにした価格や仕入れの判断は、店舗側で行います。
まとめ
美容室の原価管理は、材料費・材料費率・メニュー原価・粗利を分けて確認することから始まります。店舗全体の材料費と材料費率で月ごとの変化を見て、メニュー原価と粗利でメニューごとの採算を確認すると、売上だけでは見えない利益の状態を把握しやすくなります。
よくある質問
Q. 美容室の原価には何が含まれますか?
A. 何を原価に含めるかは目的によって異なります。この記事では、施術や販売に使う材料・商品の金額を原価として扱っています。人件費や家賃などを含めて考える場合は、最終的な利益の管理として別に整理すると分かりやすくなります。
Q. 美容室の材料費率は何%が適正ですか?
A. 一律の適正値はありません。メニュー構成や価格設定、店販商品の割合によって変わるため、他店の数字と比べるより、自店舗の月ごとの推移を確認することをおすすめします。
Q. メニューごとの原価はどう計算しますか?
A. 1回の施術で使う材料ごとに、使う量に相当する金額を求めて合計します。たとえば1本1,000円のカラー剤を1回で半分使う場合、その材料の原価は500円です。使用量は標準的な量を目安に決めるため、実際の使用量とは差が出ることがあります。
Q. Beautockでは原価と粗利を確認できますか?
A. はい。材料費・材料費率、メニューごとの原価と粗利を確認できます。ただし、人件費や家賃などを含めた最終的な利益の管理には対応していません。
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